美容家の役割は、
新しい化粧品を次々に紹介することだと思われている。
けれど私は、
読者を買い続ける人にしたくない。
手渡したいのは商品名ではなく、
自分に必要なものを自分で見極める力。
美容情報が溢れる今だからこそ、
薦める側にも「買わせない」という
誠実さが必要だと思っている。
美容の世界では、
寄り添う言葉とともに新しい化粧品を薦めることが
親切だと考えられている。
けど私は、
読者を次々と新商品へ向かわせるために
書いているのではない。
昨日買ったものがまだ残っているのに、
今日また別の「正解」を欲しくなる。
その繰り返しは、
美しくなる行為というより、
判断を手放す習慣に近い。
だから私は、
ときに冷たく見えるほど
買わなくていいものは不要と言う。
似合わないものまで褒めない。
流行しているという理由だけで薦めない。
読者を甘やかしたくないのではなく
情報に踊らされず、
自分のお金と時間を
自分の意思で使える人でいてほしいから。
美容は、消費を加速させる装置ではない。
本来は、
自分に何が必要で、
何が不要かを見極める訓練でもある。
私が手渡したいのは、商品名の一覧ではない。
誰かのおすすめがなくても選べる
自分自身の審美眼。
― きょうは、誰かのおすすめではなく、自分の審美眼を選ぶ ―

