白い花とレモンティーの光景に
「削らなくても満たされる感覚」が宿っていた。
若い頃は、
足して整えることばかり考えていた。
けど、成熟すると人は
「何を減らすか」で佇まいが変わる。
パリの窓辺に置かれた白い花。
湯気の立つレモンティー。
それだけで
部屋の相貌が整って見える朝がある。
ジョルジュサンク近くの
フランソワ1世通り周辺を歩きながら思った。
手入れされた古い建造物や
時代を越えてきた石造りの外壁が今も残る。
何度も修復されながら受け継がれてきた気配が
通り全体に漂っている。
この光景を眺めつつ
新しいことが美しいとは限らないと。
時間を重ねたものには、
時間を重ねたものだけが持つ澄度がある。
私は、
“増やす美” より
“澄ませる美” を選ぶようになった。
—— きょうは、白い光を選ぶ。——

