" /> The Peninsula Hong Kong 寝起きのまま降りた朝のラウンジ | 美容家ルネ|50代からの美意識
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The Peninsula Hong Kong 寝起きのまま降りた朝のラウンジ

✧Elegant Minimalism

ラウンジで試されるのは
装いではなく、
整っているかどうか。

50代の美意識は、
「装うこと」から
「整えること」へ
少しずつ移っていく。

心を整える。

呼吸を整える。

そして
歩く速度を整える。

若い頃は、
その場所にふさわしい自分になろうと
背伸びをしていた。

けれど今は、
まず自分を整えてから
その空間の静けさを受け取る。

何か特別なことを
するためではない。

まして
「ここにいる自分」を
誰かに見せるためでもない。

ただ
その街が持つ
特有の時間の流れに

自分の感覚を
ゆっくり馴染ませるために
私はラウンジに座る。

成熟世代の旅とは、

景色を
消費することではない。

自分を整え
その街の品格と
重なる瞬間に
立ち会うこと。

私は
そう思っている。

と言いつつも、
ちょっと恥ずかしい出来事があった。

あの日は、
ペニンシュラ香港。

目覚めたら空腹で、
髪はクリップ留め
お化粧もせず
そのまま下のラウンジに降りた。

メゾンのスーツに
パンプスを合わせていたが、

首から上は
完全に寝起きのまま。

どこか
アンバランスな姿。

ここは、
九龍の優雅さを象徴する
入口のような場所。

失礼になってはいけないと思い
ウェイターに頼んだ。

「一番
人目につかないお席でお願いします。」

瞳の大きな
インド系のウェイターは、
快く案内してくれた。

目覚めが追いつかないまま、
柱の真鍮を目でなぞりながら歩く。

石を打つようなリズムの床。

大理石のモザイクが続いている。

新聞を片手に
朝の時間を過ごす
欧米のビジネスマンたちを背に
ソファに腰をおろす。

レモンティー。
イングリッシュマフィン。

いくつか注文を終えると
さっきのウェイターが
五割ほどの笑顔で

「モーニングのセットが
ずいぶんお得ですよ。」

首をわずかに傾け
口角をやわらかく上げて
教えてくれた。

寝起きの顔で
気後れしていた私を
ほぐしてくれた気がした。

その熟練ウェイターの
ユニフォームは、
新品のように整っていた。

—— きょうは、整えてから入るを選ぶ。——

一流の空間で見抜かれる人 見抜かれない人

Lounge & Travel Notes|ラウンジと旅の観察録

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