ホテルラウンジで過ごす
成熟世代の静かな贅沢と時間の使い方。
年齢を重ねるにつれ、
私はラウンジで過ごす時間を
意識的に選ぶようになった。
急がなくていい。
食べきらなくてもいい。
無理に会話をしなくてもいい。
ただ
そこに在ることが許される。
それは
時間を消費する場所ではなく
日常という概念から
離れるための場所。
若い頃は、
時代のスピードに追いつくことに
必死だった。
成果を追い
実績を求め
評価を受けることに
価値を見出していた。
その速度の中に、
自分の人生があると
信じていた。
今は、
時間が自分を追い越す中で
眺めていられる場所を
選んでいる。
年齢を重ねた
大人にとっての贅沢とは
何か特別なものを
得ることではない。
「自分を急かさなくていい」
という自由を
自らの手に
取り戻すことなのだと思う。
食べきれなかったフルーツや
冷めてしまった紅茶。
それらを前にしても
もったいないや義務感に
支配されない。
とはいえ、
最後まで
キチンといただくのが
自分との約束。
実際は、
「少量でお願いします。」と
オーダーしている。
こうして、
贅沢でも
フレキシブルに
振る舞えたとき
私は
ようやく
ここの住人になれた気がする。
—— きょうは 急がない贅沢を選ぶ。——
