1984年、15歳。
私学の高校に通っていた。
制服の足元はローファー。
普通の靴下をそのまま履くと、
パンパンに張ったふくらはぎばかりが強調される。
それが気に入らなかった。
足首にボリュームを持たせれば、
対比で脚が少し細く、長く見える。
高校生なりに、そんな視覚効果を考えていた。
そこで履いていたのが、
紳士用の大きいサイズの靴下。
大きいから当然余る。
それを足首にダルダルとたるませて、
ローファーを履いていた。
セルフ・ルーズソックス。
まだ「ルーズソックス」なんて言葉も知らない。
売ってないから、オッサンの靴下で作る。
紳士用靴下「会社行ってきます」
15歳ルネ「今日から女子高生な」
高校1年生の私は、それで普通に学校へ行っていた。
すると次第に、
同じように靴下をたるませる子が増えていった。
気がつけば学校中に浸透していた。
それからずいぶん経って、
女子高生のルーズソックスが大流行した。
テレビでも雑誌でも、足元はダルダル。
それを見た時、
私はひそかに思った。
遅い。
こっちは1984年からやっている。
しかも専用品ではない。
紳士用靴下で。
自分の先見の明を ずいぶん誇った。
誰も褒めてくれないので、
自分で誇った。
考えてみれば昔からそうだった。
売っているものを
そのまま使うとは限らない。
欲しい感じにならなければ、
勝手に使い方を変える。
しかし15歳の私・・・
まさか40年以上経って、
オッサンの靴下について書くとは思っていなかっただろう。

