迷ったら抜くという一手に
思いやりと責任の精度が宿る。
ゴールデンウィーク、
美容室はすぐに埋まる。
だから今のうちに整えておいた。
髪色のメンテナンスは、
全体の佇まいを決めていく。
全頭ブリーチの時代を抜けて
この一年は
盛大なハイライトへ移行している。
コントラストは強め。
ハイライトの幅も厚く取る。
均一ではなく、
あえて曖昧を残す。
「迷ったら抜いてください。」
一言だけを預けて席に座る。
細かな指示はしない。
判断は彼に委ねる。
ここで差が出る。
技術はもちろんだけど、
それ以上に
言葉の扱い方と配慮の深さ。
私がお世話になっているのは
個人サロン経営のオーナー。
仕上がりの方向を言語化しすぎない。
必要な分だけ拾い
余計な説明を足さない。
選び方に迷いが出たとき
髪を残すか 抜くか。
ここに
経験と審美が乗る。
そして、
その判断の奥にあるのが
思いやりという精度。
「これを怠ると変なオレンジがずっと残るので」
そう言いながら 手を抜かない。
信念と生真面目さ。
抜かりがない人。
似合うかどうかだけで終わらない。
時間の経過でどう崩れるか。
次回来店までの間に
どれだけ美しさが保たれるか。
そこまでを見て
あえて引く。
あえて残す。
この選択ができる人に任せると
仕上がりは派手さよりも深みへ向かう。
私はこうして
ハイライトのバランスを整えている。
強さを削ぎすぎず
品を落とさない。
—— きょうは、任せるという選択を置く。——

