" /> 美容クリニック帰り 地下街の大阪おばちゃんに救われた昼 | 美容家ルネ|50代からの美意識
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美容クリニック帰り 地下街の大阪おばちゃんに救われた昼

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地下街を歩きながら
ちゃんと“深部のメンテナンス”をしてきた感覚だった。

医療でしか届かない場所がある。

お化粧品では追いつかない部分を
少しだけ整えて帰る日。

検索でたどり着いた方へ。
この記事は、美容クリニック帰りの大阪ランチと

成熟世代の外食感覚について書いています。

けど、帰り道に残ったのは
施術そのものより
地下街の空気だった。

ちょうどお昼時、

スーツ姿のサラリーマンが

流れていく地下街で
チェーン店ではない
古い個人店の居酒屋ランチが目に入った。

軒先には
ロウ細工ではない
本物の定食見本。

あの昭和の相貌。


私は小麦アレルギーがあるので
カフェで軽く済ませるのが難しい。

だから迷わず入った。

店内は満席。

サラリーマンだらけの中、
レジ横にぽつんと空いていた一人席へ通された。

会社員風の女性が数人。

その景色を見たとき、
勤め人だった頃を思い出した。

57歳の私は、
もうしっかり“おばちゃん側”なんだけど
ホールを完全に回していたのは、
さらに年季の入った大阪のおばちゃんだった。

私は迷わずホッケ定食を注文。

すると年季もののおばちゃんが
「ホッケあるって! 最後のひとつやったわ!」

と、突然こちらへ報告してきた。

“確認してまいります” も
“少々お待ちください” もない。

いきなり結果だけ飛んでくる。

私は思わず
「あ、よかったですう〜」

と返した。

親戚のおばちゃんとの会話みたいで
笑ってしまった。

こういう距離感が、
大阪の地下街にはまだ残っている。

年季の入った大阪のおばちゃん統治は

さらに強かった。

隣の男性には、
有無を言わせず相席させた。

「すみませーん」と声をかける
孫みたいな年齢のサラリーマン男子には
無言の“待て”の空気で制圧していた。

もちろん誰も怒らない。

ちゃんと待つ。

あの空気が
大阪なのだと思う。

生まれ育ち大阪の私は、

この大阪のおばちゃん文化が

昔から大好き。


しばらくして運ばれてきたホッケ定食。

焼き魚の身を見た瞬間
冷凍ではないのが分かった。

副菜
お味噌汁
お漬物。

さらに生卵までついている。

すると別のおばちゃんが
「これ、お醤油やからね」

と突然 説明してくれた。

私は一瞬
“生卵の説明…?”
と思ったけど

どうも卵かけご飯用の専用醤油らしい。

大阪のおばちゃんたちは、
説明の境界が独特で面白い。


食事のペースが崩れない安心感。

ちゃんと

“ご飯として成立している定食”。

こういうことが
年齢を重ねると沁みる。

しかも税込850円。

感動。

安さではなく、

チェーンの均一化された定食ではない
店の台所を通ってきた味。

私は生卵以外
綺麗に残さずいただいた。

隣の孫的サラリーマン男子は、
カツおろし定食で卵かけご飯にしていて
若者らしい食べ方に和んだ。

そして店内には、
なおも通る
年季ものおばちゃんの声。

私はレジ横席で
ホッケの小骨と格闘しつつ
もたつきながら食べていた。

その横を
会計を終えた人たちが次々抜けていく。

ふと思った。

美容クリニック帰りで、
ちょっとこぎれいにしてきたこと
少しだけ後悔した。

この店では、
もっと普通の顔でよかった気がした。

—— きょうは、人の体温が残る場所を選ぶ。——

ささやかな外出がくれた、心がほどけるひととき

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