若い頃は、
無意識に他者と自分を比べながら生きていた気がします。
成績は、誰かより上か下か。
ちゃんとしているか、遅れていないか。
けど50代になって、
少しずつ、その比較が重たく感じられるようになりました。
若さや他者との比較を手放したとき、
私に残ったのは
小学生のころ、ただ「好き」で生きていた私でした。
成績でも、評価でもなく、
誰かに見せるためでもない。
ただ、心が動く方へ進んでいた、
あの頃の感覚。
人生は前に進むことで
更新されていくものだと信じていましたが、
本当はそうではなかったのかもしれない。
人生は、
前に進むより、
原点へ戻るほうが美しい。
比較を手放した先に、
いちばん美しい私がいました。
何かを足したからではなく、
何かを削ったからでもなく、
ただ、戻っただけ。
「好き」だけで生きていた私へ、
遠回りをした人生の途中で、
もう一度、静かに還ってきたのです。
比較をやめた日、
人生は派手に変わったわけではありません。
けれど、
音もなく、確かに、
静かに輝き出しました。
年齢を重ねるほど、
美しさは外側よりも
佇まいに宿るようになります。
競わないこと。
急がないこと。
比べないこと。
それは、諦めではなく、
ようやく自分の人生を
自分の手に取り戻した、という感覚。
何者でもなかった頃へ、
還っていく美しさ。
50代は、
新しい自分になる年代ではなく、
いちばん大切だった自分を
思い出していく年代なのかもしれません。

