" /> 谷崎潤一郎という「SMクラブ常連の上品エリート」 | 美容家ルネ|50代からの美意識
✧Character Studies

谷崎潤一郎という「SMクラブ常連の上品エリート」

✧Character Studies

このシリーズは、
文学者や思想家を評価するためのものではありません。

人物そのものではなく、
その人が生み出していた空気や
作品を通して立ち上がっていた世界観を
いまの私の感性で受け取り直す記録です。


― 暴露本?なんて偏愛なタイトルなんだ。

『痴人の愛』

こんな思いで手に取った。

これは暴露ではない。
告白でもない

― これは、
「私はこういう性癖の生き物です」という
文学を装った自己申告書でした。

主人公ナオミとの関係は、
谷崎潤一郎の実生活、
せい子との時間を描いている。

西洋風な顔立ちの15歳の少女を育て、
のちに妻にする。

「マジでっ???」
と思わず声が漏れた。

それなのに谷崎は、
一切の言い訳も照れもなく、
作品として堂々と差し出してくる。

倫理も
こちらの心臓も
全部 置き去り。

溺愛と偏愛の末、
ワガママ奔放に成熟したナオミに対し
何でも叶えてしまう
谷崎自身のマゾヒズム。

島国日本の、
明治・大正・昭和というあの時代に、
作品によるここまでの自己開示。

先に行きすぎる・・・
読者、普通にドン引きである。

それでも私は、
谷崎が小悪魔ナオミに溺れた気持ちが
なぜか理解できてしまった。

実は過去に、
ナオミと同質の女性のそばで、
彼女をじっと観察していた時期があった。

見目麗しくエレガント。
放つ言葉選びも上品。

一方で、
社会性や責任感には驚くほど希薄。

会話の空気と機微をつかむのが
抜群にうまく、

男たちは
あっという間にメロメロ。

気づけば、
財布も時間も差し出している。

しかし
女性たちとは
距離があった。

時おり交わす私との口約束は、
その場限りのもの。

私は何度もがっかりしたが、
それでも彼女から目が離せず、
観察をやめられなかった。

そして、ある瞬間に腑に落ちた。

― これが、「人たらし」なんだ。

彼女は、
崇拝される才能を持った生き物。

まさに、
『痴人の愛』ナオミ
そのものだった。

人生の節目ごとに家を建て、
気がつけば転々と移り住み、
結婚と離婚を繰り返す。

妻の妹を愛人にし、
奥様と娘を友人に譲渡する感覚。

・・・もう、

狂人ですか?

ビバヒル青春白書かよ。

数ある代表作のひとつ、
『細雪』

昭和初期の上流階級、
関西の四姉妹の日常。

あの時代の日本文化と、
関西弁の会話が妙に心地よい。

そして、
谷崎最後の奥様は
この四姉妹の二女。

自分が妻帯者でありながら
彼女に恋をし

熱烈なマゾヒズムを炸裂させた
ラブレターを
送り続ける。

「あなた様の従順な召し使いです。
潤一郎でなく潤吉になって、
しもべになります」

・・・SMクラブの入会申込書でしょうか。

欲しい女性は、
年月がかかろうと必ず手に入れる。

実生活も作品も、
すべてを女性中心で回す人生。

女性を崇拝したいマゾヒズムと、
身勝手すぎる離婚の数々。

谷崎は、
女性を愛したのではない。

女性を崇拝する自分自身を
何よりも愛していた。

この生き物感、すごい。

だから私は、
谷崎潤一郎を
どうしても嫌いになれない。

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