夜。
照明を落とした部屋に、
香りをひとつ置く。
香りは、
思考よりも早く
心の深い場所に届く。
言葉にできなかった疲れや
溢れすぎた言葉まで、
そっとほどいてくれる。
50代になると、
「何をするか」よりも
「どんな感覚で夜を迎えるか」が
眠りの質を大きく左右する。
57歳。
からだのリズムが
揺れる夜がまだある。
だから私は、
夜だけの香りを決めている。
ラベンダーの余韻。
ネロリの清らかさ。
50代の美意識は、
足すことではなく
感覚を選ぶことにある。
今夜の自分を
心地よく終わらせる。
そのための香りが、
夜には ちょうどいい。
—— きょうは 深い眠りを選ぶ。——
