朝の光がやわらかく差し込むとき、
私はそっと90年代CHANELのツイードを肩にかける。
その瞬間、胸の奥に
小さな火がふわりと灯るように感じる。
若い頃のように勢いや勘だけで進むのではなく、
50代の今は“佇まい”で示すほうがしっくりくる。
ツイードの一目ひとめに宿る
歴史や手仕事の確かさは、
派手ではないのに圧倒的な説得力がある。
日々の中で自信が揺らぐ瞬間があっても、
ジャケットを羽織るだけで
心の中心がすっと整う。
あの頃、雑誌のページ越しに眺めていた憧れは、
時間をかけて私の内側に根を張り、
今では「あなたはもう充分に美しい」と
語りかけてくれる存在になった。
エレガンスとは、纏う服ではなく、
纏う“空気”のこと。
CHANELのツイードは、
その空気を思い出させてくれる
“無言の相棒”。

