大阪で育った私にとって、
お正月の定番はいつも白みそのお雑煮だった。
けれど、長いあいだ、
どこか漂白剤のような“白さ”が先行する白みそばかりで、
本当に懐かしい、昭和の白みその味に出会うのは簡単ではなかった。
そんな折に巡り会ったのが、
滋賀にある老舗 九重味噌(ここのえみそ) の白みそ。
ひとくち口に運んだ瞬間、
言葉にならないほどの美味しさが広がる。
それは、子どもの頃に親しんだ白みそそのもののやさしい甘さであり、
発酵の奥行きと時間の重みが溶け込んだ味だった。
12月になるとネット販売でも、
お正月仕様の極上白みそが並ぶ。
もちろん通年で手に入る極上白みそもあるが、
年の節目と重なるこの時期のものは格別に感じられる。
ご近所のカジュアル割烹でも、
朴葉焼きに使われている味噌はきっと九重味噌だろうと確信している。
実際、各料亭にも卸されているという、
その品質と信頼は業界でも高い。
私は、元々お正月のおせち料理と白みそのお雑煮、
そして凛とした新年の空気が大好き。
だから2020年以降は自分の中で「毎日お正月宣言」をして、
好きな時に白みそお雑煮を作っている。
気分はいつでも新年の朝。
それは単なる遊びではなく、
日々を整え、呼吸を整え、味わいながら生きる習慣になっている。
家族は私ほどおせちが好きではないので、
大量に用意することはない。
でも、この九重味噌のお雑煮と、
厳選した少しのお料理だけで、
私の中の上質で清貧エレガントな日常が立ち現れる。
白みそには、
年の節目だけでなく、
日々を美しく整える力がある。
それを教えてくれた九重味噌という存在に、
私は深い感謝を感じている。

