装いとは、外見を飾るものではなく、“その人の品格をまとう行為”そのもの。
50代から似合うラグジュアリーは、若さを補う背伸びではなく、生きてきた時間の深みと、
成熟した人生の“余白”から立ち上がる。
だからこそ、選ぶもの・触れる空間・ともにする時間が そのまま“美意識の質”を映し出してしまう。
そしてパリでは、その問いかけがより静かに、より強く、
私の中心へと響いてくる──。
Lasserre(ラセール)の夜に流れていた、洗練と品格のストーリー。
パリ滞在記・全10本のうちの第4話。

夜の食事は、名店 Lasserreへ。
ドレスコードのある由緒あるお店だから、装いには気遣った。
とても暖かいレモンイエローのツイードジャケットに 白のフレアスカート、バッグにバレエシューズを忍ばせて。
歩く自由と、名店への敬意。
どちらも叶えるそんなルックに仕上がった。

ラセール名物の“天井が開く仕掛け”は、まさに一流の演出。
食事中にゆっくり屋根が開き、パリの空が姿を見せる。

伝統的クラシック料理を守り続ける名店で、
メインはカナール・ア・ロランジュ(鴨のオレンジソース煮)、のコースをオーダー。
水を使わない調理法の濃厚なフレンチは、一皿ごとに「歴史」が舌に触れる感覚。

天井の青空のペイント、そして夜空に切り替わる瞬間は、
人生の節目に立ち会っているような高揚感があった。

帰りには、ロゴ入りの金装飾が施された小さな鍋の焼き物と、ラセールの歴史が記されたA4サイズ写真入り冊子をくださった。
ページをめくると、著名人たちに混じってオードリー・ヘップバーンの姿も。

50代になって気づいたのは、こうした体験が心と美意識を成熟させてくれるということ。
外見のための食事でも、贅沢のためのドレスコードでもない。
「丁寧に味わう時間」が人生観の深みと 個人の佇まいを作るのだと思う。
▶Paris Series – All Episodes ♛https://beautydiary50.com/category/travel/

