夜のパリは、静けさの中に艶がある。
チェックインして最初に迎えたこの時間は、ラグジュアリーという言葉では足りないほど“豊かさの光”が満ちていた。
重厚な扉が閉まる音さえ美しく、館全体がゆっくりと呼吸するよう。
私にとって、この夜は──
「50代女性であることを肯定してくれる瞬間」だった。
時間の流れとともに変わっていく美意識の旅を綴ります。
パリ滞在記・全10本のうちの第1話(ジョルジュサンク/夜)。

到着した午後は、ホテルの階下にある「La Galerie」へ行き、お茶をいただく。
美術館や寺院を巡るより、今回はただ “気分のままに滞在する” ことにした。
予定を手放し、心の声に従う──
そんなわがままさえ、50代の成熟が許してくれる。

旅の始まりを告げるひとときは、再びこの場所に戻ってこられた喜びに満ちている。
窓から差し込む柔らかな光に包まれながら、紅茶の湯気を眺めると、「わー♡また来れた」という充実感。
時の流れさえも優雅に緩やかに感じられる。
パリという洗練された空気と、ラウンジの静けさが溶け合い、心は豊かに浸されていく。

昼の余韻がそっと影を帯び、“静けさの格”へと表情を変える。
音を吸い込むような上質な暗がりは、50代の私にとって心を満たすご褒美そのもの。
パリ・ジョルジュサンクの夜。
広いバスルームにキャンドルを灯し、足湯を楽しむ贅沢な時間。

わずかなフライト疲れも、生きている証のように感じられる。
流れるフランス語が分からなくても、その響きさえ心地よい。
50代になって気づけば、完璧よりも“感じる美”を選ぶようになった。

香りと静けさに包まれて 心がほどけていく夜。
美は、整えることより 解き放つ瞬間に宿る。
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